聖餐

魔術家、巫女、或いは女学生の神経回路

“間”考

同じ型を繰り返しながら群衆で前進する。その間、他人と同じ方向に花を咲かせてはならず、また花を眼差してはならない。他人の隙間を縫いながら間を埋めあるいは間を作り、眼差しの間にも気を配ると、そこには野花のように呼吸する花束が生まれる。すべての間を探り、合わせ、整える。

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舞踏合宿中、山海塾舞踏手による型のデモンストレーション。吐息と花。

舞台床に埋め込まれた水族館さながらの巨大水槽は、役者が現れては消える空気のない空間だ。圧倒的な仕掛けが施された舞台と最前列の間隔は非常に狭く、絶対濡れると分かっているのにわざとそこに座る。濡れる体験を求めている人が大半だと思う。しかしそんな彼らがしぶきを避けようと身構える瞬間は、劇場全体に不思議な期待感を引き起こす。瞬間が生まれる瞬間を意図した日々未完成の芝居。

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横浜トリエンナーレ2017水族館劇場公演会場。舞台上の鯉が泳ぐ床下水槽は圧巻。

魔術の最終到達地点は、今ここにあるすべての間が完全に調和する瞬間かもしれない。宇宙ー意識ー事実・事象ー感情や空想ー意志のすべてにおいて均整が取れた状態になると、はじめて意志が正しい方向に働き、願いの成就につながる。占いや儀式はこの内外の域を超えたあらゆるものの間の調整をするための行為であって、決して端的に願望を叶えられる便利道具ではない。音の魔術師・ザッパの言う、いかがわしくても他人を傷付けさえしなければ良いという考え方も、聞こえは勝手極まりないが、これこそが自分と何か(誰か)の間を守る最大のキーであることに間違いないだろう。魔術はあらゆる“貴方”と私の間に起こる。貴方は宇宙であり物質、ときに貴方自身だ。

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アレイスター・クロウリーによる一筆書六芒星。能動性と受動性、有と無の調和。