沈黙

文学を学びつつ 人にものを伝える仕事をしていると、時々 言語そのものはもちろん言語を持ってしまった人間の価値すら分からなくなってくる。身体にも精神にも疑問ばかりが浮かび、メルロ=ポンティに問えば、生命に立ち還れと諭された。 身体にも精神にも偏…

久しぶりに下北沢のピアッシングスタジオに顔を出して、15時から閉店まで長居していた。様々なお客さんがやってきては風穴を開けていたが、痛がりもせず、騒ぎもせず、つまらないなと思ってしまった。人間の成長過程において痛みを表現するのをやめる時期と…

瞼裏の光

何かの際に手を組んで「神様」と祈るとき、心の片隅で「神様ってだれだろう」と思う感覚は宗教的体験をしたことがある人にはよく分かるかもしれない。 幼い頃に朝礼拝のなかで見出した祈りの本質とメカニズムをまとめると、 ①祈り=自分との対話を「神」とい…

言葉と妙なものを封印せよ2

『言語を持ちそれによって他者と関わり社会を形成したホモサピエンス=人間』だとするならば、純粋に言語を持たないホモサピエンスは何なのか。例えば赤ちゃん。感情を伝えるべくただ湧き上がってきた身体表現をやっている……寂しくて泣いていたら、ママがそ…

言葉と妙なものを封印せよ

言語を持たない子供は身体表現(意味を持たない声を上げる、叩く、泣くなど)で意志を伝達し、言語はあくまで他者からの付与で蓄積されて行く。という一般的な表現方法の取得過程の真逆→言語を先に伝達し、その言語に身体表現を付与する土方舞踏譜は言語には…

夢のようなこの世

舞台床に埋め込まれた水族館さながらの巨大水槽は、役者が現れては消える空気のない空間だ。圧倒的な仕掛けが施された舞台と最前列の間隔は非常に狭く、絶対濡れると分かっているのにわざとそこに座る。濡れる体験を求めている人が大半だと思う。しかしそん…

“間”考

同じ型を繰り返しながら群衆で前進する。その間、他人と同じ方向に花を咲かせてはならず、また花を眼差してはならない。他人の隙間を縫いながら間を埋めあるいは間を作り、眼差しの間にも気を配ると、そこには野花のように呼吸する花束が生まれる。すべての…

プルシャの讃歌

「将来どんな仕事したいの?」と聞かれて答えられないのが時期的にまずくなってきた。全く考えていないわけでも全く興味が持てるものがないわけでもないけど、どんな職種であれ自分が働いている姿を想像できずいつもぼんやりしている。 すごく好きなものを仕…

小夜しぐれなくは子のない鹿に哉

小夜子さんにまつわるエピソードと感情はあまりに私的すぎてこの場で語れることは少ない。 何度か夢に出てきてその姿を見たが、やはり彼女はいつもひとりだった。私とも喋ったし、他人とも喋っていたが、実際は、心の中はどうだったんだろうか。 出会ってか…

夜は瞬膜の此方

人間には二つのルート 一つは人間の形をした普通の赤ん坊から大人の人間に成長するルート もうひとつは 猫がある時点で変身して人間になるルートがあって その双方とも人間から生まれてきたものと固く信じている 悟っているようで悟っていない。いろいろ思っ…

きみはアイドル

きらきらしたまま消えてゆくアイドル。山口百恵、ピンクレディー、キャンディーズ。新旧を問わず(新についてはほとんど知らないからあまり言及できないけど)絶頂の花火が一番上で潔く星になるような引退のし方をされると「ああ、貴女はそうやってどこまで…

幼子覗く窓越しの深い海

酒の席なんかで一緒になった人を見て「この人からこれを取ったら何が残るんだろう」と思う癖(?)がある。まぁなんとなくまた別のモンを探すだろうなとか、狼狽えるだろうけどあんまり落ち込まなさそうだなっていう人もそこそこいるけど「もしこの人からこ…

美貌の青空

94歳にして現役で活躍するパイロットをテレビで見た。幼い頃から飛行機に憧れ、倍率70倍の予科訓練生に合格。終戦までの8年間一式戦闘機のパイロットを務めたそうだ。戦争が佳境に向かうにつれて空軍の人数は不足し、離陸と着陸をやっとこさ覚えた若者たち…

about

牟礼菊乃 現代魔術 / 1996年生惑星詩人協会 東京ロッジ メンバー 6歳からクラシックバレエを始め、プロダンサーを目指していたが15歳で体調を崩し退く。学校も行かず社会から隔絶していた当時、様々な身体感覚や精神的変容に遭遇。翌年単位制高校に転学。18…